アメリカ・ショービズ界、一流の才能が集結!

学園ドラマの中にミュージカル的なパフォーマンスをふんだんに盛り込んだ「glee/グリー」の大ヒットは、その後の米テレビ界に一躍ミュージカル・ドラマのトレンドを作り出した。そうした中で、ブロードウェイを舞台にミュージカルを製作する舞台裏を描くという直球勝負で挑んだ「SMASH」は、これまで若い層をターゲットにしたこのジャンルにおいて、真打ち登場ともいうべき大人の本格派エンターテインメントとして放送前より業界内外から大きな注目を集めた。
特筆すべきは、アメリカのショービズ界を代表する一流の才能がスタッフに名を連ねている点だ。スピルバーグと並ぶプロデューサーには、映画『シカゴ』や『ヘアスプレー』を大ヒットに導き、ブロードウェイの人気ミュージカルも手掛ける黄金コンビ、クレイグ・ゼイダン&ニール・メロン。2013年の第85回アカデミー賞®授賞式のプロデューサーにも決定している、今乗りに乗っているクリエイターの代表格だ。脚本を手掛けるテレサ・レベックは、ピューリッツァー賞候補になった経歴の持ち主。そしてエピソード監督を務めるのは、舞台「春のめざめ」でトニー賞を受賞した才人マイケル・メイヤー。さらに、オリジナル楽曲を手掛けるのはミュージカル「ヘアスプレー」で数々の賞に輝くマーク・シェイマンとスコット・ウィットマン、と、テレビシリーズではあり得ないほどの豪華な顔ぶれとなっている。

この製作陣に応えるべく、演じる俳優陣もミュージカルの分野で活躍する人材が多く出演しており、これまでテレビでは観ることのできなかった本格的なパフォーマンスを披露している。基本的にパフォーマンスはリハーサル風景など、自然な流れの中で登場する。リハーサル風景に衣装や美術セットが華やかな舞台バージョンがオーバーラップしたり、カレンとアイヴィーが空想の中でマリリンに成りきるシーンなどは、映画『シカゴ』を想像すると一番近いかもしれない。
同時に、本作は女性を引き付けて止まない魅力にあふれている。全くタイプの違うカレンとアイヴィーの宿命のライバル関係は、映画『ブラック・スワン』のようでもあり、もっとわかりやすくいうと人気コミック「ガラスの仮面」のごとく。また、主演の2人を中心に結婚生活に悩むソングライター役のデブラ・メッシングなど、エネルギッシュできらびやかなネオンが輝くマンハッタンを舞台に、夢を追い、恋に傷つき、時には大きく挫折しながらも大都会で力強く生きる女性たちの姿は「SEX and the CITY」のような女性が共感するヒット作に通じるものがある。
地上波の番組としては非常にチャレンジングかつ贅沢な作り方にも注目が集まっている「SMASH」は、本格派でありながら、ドラマチックで刺激的なショービズ・サバイバル・ドラマとして娯楽性に富んでおり、全米の女性を中心に熱い支持を受けている。ジェニファー・ハドソンほか豪華キャストの出演も話題のシーズン2の放送も早々に決定しており、更なる「SMASH」旋風が起きることは間違いない。